洒落物研究 | MADISON E2

SOUTIENCOL 三浦が『洒落物研究』と題し、『後世に残したい語るべきこと』を徹底的に語り尽くす不定期連載。デザイナーとして30年にわたり一線で活躍してきた経験の”一方的なアウトプット”や様々な感性と結びつき”コンフリクトを生み出す”プロジェクトである。 第三回目はSOUTIENCOLのアイコニックなアイテムであるボタンダウンシャツ『MADISON E2』について。このシャツは理想の型・クオリティを実現するため、福島県のファクトリー工場を使い続けている。この工場はVANのボタンダウンシャツも作っていた工場だ。今回はこだわりのボタンダウンシャツについて語っていこう。 トラッドカルチャーの象徴である『ボタンダウンシャツ』 私がトラッドスタイルに目覚めたきっかけは、言わずもがな『VAN』の影響である。16歳の夏、水泳部の同僚がインディアンマドラスチェックのヴェステッドジャケットを着ていたのを見て、ショックを受けたのを覚えている。このジャケットがVANのものだった。 私の師匠である石津謙介氏が、アメリカ東部の大学 『IVY LEAGUE』の学生スタイルを真似て既製服として日本で広めたのが、日本におけるトラッドカルチャーの始まりである。 当時大人たちからは批判された。短い丈のコットンパンツにコインローファー、ボタンダウンシャツ、VANのロゴ入り紙袋、FOXタイプの長傘、、、。このスタイルがトラッドの象徴的なスタイルだった。 ボタンダウンシャツはトラッドスタイルを象徴するアイテムなのである。 石津さんが最もこだわった『シャツ』 VANに在籍していた1970年代、毎シーズン石津さんからデザインチェックを受けていた。デザインストーリーやコンセプトを説明し、各々の評価を聞くのだ。 石津さんはシャツに一番うるさかった。私の前でプルオーバーシャツを着たり脱いだりしてサイズ感をレクチャーされた。カフス周りのサイズには非常にうるさかった。『ボタンを留めたカフスに手をすぼめて、ストレスを感じながら入らないといけない』。石津さんはいつもそう言っていた。 ボタンダウンの衿のロールについては、毎日研究を重ねた。当時の企画部長であったT氏と嫌になるほど、何日も研究したことを覚えている。衿が最も綺麗に立つにはどうしたら良いかを徹底的に研究した。 MADISON E2 MADISON E2とはマディソンアベニューのイーストの2番地から来ている。マディソンアベニューがアメリカのビジネス街と有名であり、そこから命名した。MADISON E2は1960年代アメリカ文化を象徴とするボタンダウンシャツをアップデートさせたものだ。 生地へのこだわり 今回の生地はTHOMAS MASONの中でも高級ラインであるゴールドラインを使用。この生地は、GIZA45の超長綿で、タテ糸が140番手という極細の双糸を使用。60番手の糸を3本に撚った『三子糸』を横糸に使用したオックスフォード生地だ。一般的なシャツは50番手の縦糸が使用されることが多いため、この生地がいかにしなやかで、柔らかいか想像できるでしょう。 クラシックなオックスフォードの表面感は変えず、極細の糸を使用することでしなやかな優しい肌触りを実現している。3本に撚った『三子糸』を使用することで堅牢性も高い。また洗いによるシワも気にならない生地となっている。 ありふれたホワイトシャツに飽きた人や、ビジネスだけでなくオフでもカジュアルにも着たい人にぴったりのシャツだ。 THOMAS MASONとは 1796年 英国ランカシャーで創業したシャツ生地メーカー。ロイヤルワラント(英国御用達)を享受する伝統的で由緒正しいブランドとして認知される英国が誇るシャツ生地の名門。今回使用するゴールドラインのオックスフォードは1996年に200周年を記念して作られたモデル。 ディティールへのこだわり VAN時代からのディティールへのこだわりは今でも続いている。まず第一にボタンダウンシャツの命は衿の『ロール』である。ロールの作りにより、美しい衿姿を生み出すことが出来る。 ロールを最も綺麗に見せるには、ボタンダウンの衿先のホール位置とボタン位置のバランスが大切である。ここをミリ単位で調整していることが、スティアンコルの職人技である。

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